説明と理解

2005年1月11日 日常
寒気が訪れ始め、ようやく冬らしくなってきた。インフルエンザは流行っていないが、そのかわり嘔吐下痢が横行している。新聞の紙面をノロウィルスが賑わしている。我が医院でも横行していて点滴の林が出来てしまう。吐き気止めを使い、点滴で補液をすると大方嘔吐は止まる。帰る時に家での注意事項を説明。まず手洗いの励行と水分補給、そして消化の良い物を食べるように言う。すると、よく質問されるのが「消化の良い食べ物って何ですか?」
大抵のお母さん達はこれまでに色々な種類の食べ物と遭遇してきた筈だ。そしてお腹の調子の悪い時には、自然と消化の良いお粥やうどん等を選んでいた筈だ。下痢をしているのに好んで焼肉を食べたりはしないだろう・・・そんな経験が誰しもある筈なのに・・・
でも聞かれたからには説明をしないといけない。「お粥やうどん、水分はお茶やイオン水、おかずは豆腐やよく煮た野菜・白身魚、パンが好きならメロンパンは良いですよ。あれは糖質が多くて脂質が少ないから」など事細かに言う。納得して帰るお母さん達。インタ−ネットや育児雑誌には載ってないのかな〜
私の友人にOちゃん(れっきとした小児科医)という女性がいる。癒しキャラで見るからに優しげなタイプ。以前、彼女が市外の急患センタ−で勤務した時の事だ。嘔吐している3歳の児が受診し、診察室に呼びいれた。病院嫌いの児だったらしく、気分不良もあって泣きじゃくるのを、Oちゃんは優しくなだめすかして、ようやく診察した。「吐き気止めを出しときますから、様子を見ながら水分を少しずつ摂らせて下さい」と丁寧に説明し、診察終了。親子は診察室を後にした。このセンタ−の診察室と前の廊下を隔てるドアは薄く、廊下での話し声が聞こえる。まだ泣いている児にお母さんがなだめの言葉。「帰りにアイス買ってあげるから!」優しくってめったに怒らないOちゃん・・・プチッと切れた。ガラガラとドアを開け、仁王立ちで「アイスは駄目です!!」
Oちゃんは今でもこの話をすると、怒りの反芻があるらしく「あんなに説明したのに・・・よりによってアイスとは!」と憤慨する。

時折、「医師の説明不足」が問題になる事がある。でも「説明」しても判って貰えない事もある・・・トホホ

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