私の仕事は出生してすぐの新生児から思春期を終えほぼ大人に近い子供達まで、彼らが健全な心身を持って成長する事をお手伝し、指南していく仕事である。昨今は「医療もサ−ビス業の一環だ」と根本的にずれて考えているお偉いさん方も多く、その改善の一環として病院内で患者の名前を呼ぶ際に「〇〇様〜」と義務付けているところもある。これは全く持って意味のない“改善策”であろうし、今まで子供だったら「〇△ちゃん」と呼ばれ、お年よりであれば「あらぁ〜△〇さん、元気にしとんしゃったね〜」と馴染みの看護師に声を掛けられた方がよっぽどしっくりくるというものだ。
如何せん、私はまだ親にはなっていない。だからといって子供を診療し、その成長に携わってはいけないことは無いと思う。この理論が通用するのであれば、産科の先生は出産経験が出来ない男性はなれないということになってしまう。以前、私はある母親から次のような事を言われた事がある。「でも先生は所詮母親になっていないから、真の子育てを御分かりにならないんじゃないですか?」
「真の子育ての御分かり」ってなんなのだろう。
先程の母親の言葉は私に対して随分な失礼な暴言と思う。それを澄ました顔で言ってのけたこの母親は人としてあまり褒められた者ではないなと感じ、このような母親に育てられる子供が少し可哀想にもなり、また同じような母親が出来上がるのだろうかと寂しく思った。
古き考えがすべて良いとは思わないが、最近の親子関係には時折首を捻る場面が多い。私が小さい時には夜間診療する病院などなく、急に具合が悪くなった子供を髪を振り乱した母親が抱えて、よく診療所のドアを叩き、父が診察していた事を憶えている。「朝から具合が悪い時には、早く連れて来なさい。子供が可哀想ですよ」と厳しい父はよく母親に注意していた。そして一所懸命に患者の事を思う父は母親に対して厳しくて有名だったが、くじけず付いて来られたお母さん方は多くいた。今ではその「お母さん」が「おばあちゃん」になり、孫の受診の際にたまたま父と顔を合わすと懐かしそうに「よく先生に怒られました」と笑っている。今では随分好々爺になってしまった父だが、そう言われると恥かしそうにしている。
最近の親たちは「子供自身の意思を尊重したい」というがその考えは裏を返せば「嫌がることを言って嫌われたくない」と同じことだ。前の晩から10回以上も吐いている子供に点滴が必要だというと、子供に向かって「どうする?点滴する?」と2,3歳の幼児に向かって平気で尋ねている。当然、子供は針を刺されて痛いわけだから嫌がるに決まっている。「子供が嫌がっていますし・・・お薬じゃ駄目ですか?」「顔色が真っ青で経口摂取が出来ないから、直接血管に水分を補充しないと脱水になるんですよ。脱水はこじれるとやっかいですよ」ここまで医師に説明させて「先生がどうしてもしなきゃいけないって言ってるから、仕方ないね」と子供には伝えられた。
せっかく処方しても「うちの子はお薬を飲みません」と胸を張って言われる。「一回飲ませたら苦いって嫌がったものですから・・・それきり飲ませていません」たった一回の抵抗であきらめてしまう。何かに混ぜて何とかして飲ませようとか、嫌がって噴出してもまた再度飲ませたという話はあまり聞かない。とにかく我が子が嫌って言う味は駄目なもの、我が子がすんなり飲めるようなお薬はないんですか?というのが本音なのだろう。でもこのような親御さんに限って「全然良くならない」と不満を訴えられる。最近は平然とした顔で「困りましたね〜お薬を持っているだけでは良くならないですものね。やはり飲んでこそ効果がありますから。ホント、困りましたね〜」とさりげなくかわせるようになった私。
以前と違って薬の味は随分改良されている。各製薬会社もこの件に対しては結構力を入れている。ただし抗生剤などはやはり後味に苦味が残る事が多い。でもこの抗生剤などのおかげで肺炎などでも外来治療でよくなる事も多い。
我が子に嫌われたくない親御さん達。我が子の病気よりも旅行や遊び事を優先する親御さん達。夜遅くまでコンビニでウロウロしている幼児。子供は顔中カピカピに乾いた青い鼻汁だらけなのに、お化粧ばっちり、ネイルア−トまでしている美しい母親。深夜受診で「熱が高くて心配だから順番を早くして診てくれ!!」と散々受付でごねて診察室に入ってきた母親の頭にはツバが有に20cmはあろうかと思われるお洒落帽子があった。真夜中でも紫外線が怖いのかな?サングラスをしてくる父親もいる。超恥かしがりやさんなのかな?生後2ヶ月の赤ちゃんを真夏の炎天下海水浴に連れて行って皮膚は真っ赤、39℃まで熱発。お母さんがストレスが溜まってどうしても海水浴に行きたかったんだそうな。
中学生・高校生は男女かまわず足を広げてコンビニの前で座り込み。そしてこれまた男女問わず眉が異常な細細さん。健康な皮膚にファンデ−ションを塗りこみ、お金がないからとアイラインは油性マジック。
乳幼児のうちから髪を茶髪にされ、赤ちゃんが飲み込むかもしれないようなカッチン留めをつけて上げ、通気性の悪いピチピチのシャツやゴワゴワのジ−ンズを穿かされ、がに股で歩かざるを得ないヨチヨチ歩きの僕達。でもお名前はとってもお洒落。何人か解らないお名前が多い事。そしてその画数の多い事。ご両親はとっても漢字好きなんでしょうね。
でも成人して大きな声でフルネ−ム呼ばれたらちょっとだけ、恥かしいかも。名刺交換のときも出しづらいかもね、きっと驚かれて。
今日は少し毒を吐きすぎました。でもこれが今の現状の多くです。しかし、そんな中、とてもホッとさせられるような親子を診たりします。そんな時にはまだ日本人も捨てたもんじゃないのかな、あきらめないで子供たちの健康な心身を守るために、お手伝いが出来たらと自分を叱咤激励・・・!!
如何せん、私はまだ親にはなっていない。だからといって子供を診療し、その成長に携わってはいけないことは無いと思う。この理論が通用するのであれば、産科の先生は出産経験が出来ない男性はなれないということになってしまう。以前、私はある母親から次のような事を言われた事がある。「でも先生は所詮母親になっていないから、真の子育てを御分かりにならないんじゃないですか?」
「真の子育ての御分かり」ってなんなのだろう。
先程の母親の言葉は私に対して随分な失礼な暴言と思う。それを澄ました顔で言ってのけたこの母親は人としてあまり褒められた者ではないなと感じ、このような母親に育てられる子供が少し可哀想にもなり、また同じような母親が出来上がるのだろうかと寂しく思った。
古き考えがすべて良いとは思わないが、最近の親子関係には時折首を捻る場面が多い。私が小さい時には夜間診療する病院などなく、急に具合が悪くなった子供を髪を振り乱した母親が抱えて、よく診療所のドアを叩き、父が診察していた事を憶えている。「朝から具合が悪い時には、早く連れて来なさい。子供が可哀想ですよ」と厳しい父はよく母親に注意していた。そして一所懸命に患者の事を思う父は母親に対して厳しくて有名だったが、くじけず付いて来られたお母さん方は多くいた。今ではその「お母さん」が「おばあちゃん」になり、孫の受診の際にたまたま父と顔を合わすと懐かしそうに「よく先生に怒られました」と笑っている。今では随分好々爺になってしまった父だが、そう言われると恥かしそうにしている。
最近の親たちは「子供自身の意思を尊重したい」というがその考えは裏を返せば「嫌がることを言って嫌われたくない」と同じことだ。前の晩から10回以上も吐いている子供に点滴が必要だというと、子供に向かって「どうする?点滴する?」と2,3歳の幼児に向かって平気で尋ねている。当然、子供は針を刺されて痛いわけだから嫌がるに決まっている。「子供が嫌がっていますし・・・お薬じゃ駄目ですか?」「顔色が真っ青で経口摂取が出来ないから、直接血管に水分を補充しないと脱水になるんですよ。脱水はこじれるとやっかいですよ」ここまで医師に説明させて「先生がどうしてもしなきゃいけないって言ってるから、仕方ないね」と子供には伝えられた。
せっかく処方しても「うちの子はお薬を飲みません」と胸を張って言われる。「一回飲ませたら苦いって嫌がったものですから・・・それきり飲ませていません」たった一回の抵抗であきらめてしまう。何かに混ぜて何とかして飲ませようとか、嫌がって噴出してもまた再度飲ませたという話はあまり聞かない。とにかく我が子が嫌って言う味は駄目なもの、我が子がすんなり飲めるようなお薬はないんですか?というのが本音なのだろう。でもこのような親御さんに限って「全然良くならない」と不満を訴えられる。最近は平然とした顔で「困りましたね〜お薬を持っているだけでは良くならないですものね。やはり飲んでこそ効果がありますから。ホント、困りましたね〜」とさりげなくかわせるようになった私。
以前と違って薬の味は随分改良されている。各製薬会社もこの件に対しては結構力を入れている。ただし抗生剤などはやはり後味に苦味が残る事が多い。でもこの抗生剤などのおかげで肺炎などでも外来治療でよくなる事も多い。
我が子に嫌われたくない親御さん達。我が子の病気よりも旅行や遊び事を優先する親御さん達。夜遅くまでコンビニでウロウロしている幼児。子供は顔中カピカピに乾いた青い鼻汁だらけなのに、お化粧ばっちり、ネイルア−トまでしている美しい母親。深夜受診で「熱が高くて心配だから順番を早くして診てくれ!!」と散々受付でごねて診察室に入ってきた母親の頭にはツバが有に20cmはあろうかと思われるお洒落帽子があった。真夜中でも紫外線が怖いのかな?サングラスをしてくる父親もいる。超恥かしがりやさんなのかな?生後2ヶ月の赤ちゃんを真夏の炎天下海水浴に連れて行って皮膚は真っ赤、39℃まで熱発。お母さんがストレスが溜まってどうしても海水浴に行きたかったんだそうな。
中学生・高校生は男女かまわず足を広げてコンビニの前で座り込み。そしてこれまた男女問わず眉が異常な細細さん。健康な皮膚にファンデ−ションを塗りこみ、お金がないからとアイラインは油性マジック。
乳幼児のうちから髪を茶髪にされ、赤ちゃんが飲み込むかもしれないようなカッチン留めをつけて上げ、通気性の悪いピチピチのシャツやゴワゴワのジ−ンズを穿かされ、がに股で歩かざるを得ないヨチヨチ歩きの僕達。でもお名前はとってもお洒落。何人か解らないお名前が多い事。そしてその画数の多い事。ご両親はとっても漢字好きなんでしょうね。
でも成人して大きな声でフルネ−ム呼ばれたらちょっとだけ、恥かしいかも。名刺交換のときも出しづらいかもね、きっと驚かれて。
今日は少し毒を吐きすぎました。でもこれが今の現状の多くです。しかし、そんな中、とてもホッとさせられるような親子を診たりします。そんな時にはまだ日本人も捨てたもんじゃないのかな、あきらめないで子供たちの健康な心身を守るために、お手伝いが出来たらと自分を叱咤激励・・・!!
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