正攻法が一番

2005年7月29日 お仕事
先日の夜間診療の時、「扇風機に子供の指が当ったので骨折していないか診てほしい」と真夜中に受診してきた児がいた。受傷時間は受診1時間前。当然真夜中だ。

「小児科でも良いのでまず診てほしい」という事なので診察室へ呼び入れた。“受傷したのは一体誰?”と言いたいくらい、その児の指には傷は無く動かしている。しかも笑顔だ。聞けば扇風機にはネットが張ってあり、そのネットの網目は子供の指よりも小さいそうだ。よく状況を聞いたうえで指がネットの網目を通らなければ、垂直に指が扇風機の羽にアプロ−チする事は理論的には不可能であろうと淡々と両親に説明した。母親は納得していたようだが、父親は顔つきが腑に落ちない様子。しかもせっかく人が懇切丁寧に教えているのに私の名札ばかり見ている。最後に小児の“若木骨折”についても説明し「少なくとも、今レントゲンをとても無駄な被爆になると思いますので、今夜は撮りません」ときっぱり伝えた。

こういう状況の時、後からクレ−ムがくる事がある。なぜなら、説明を聞く際に“名札”という他のものにベクトルが向いているため、後日「聞いていない」等の不満が出てくるからだ。真夜中のこういった診療の極意として、説明したことは全て記載すること。手間はかかるが、一番確実な方法だ。私は様々なアクシデントを体験し、この方法が一番確実で正攻法と思われる。

真夜中は身体も疲れるが心も疲れる。でも気を張って自分で自分の身を守りつつ“夜の診療”にいそしむ。

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